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執筆者の写真ナカジマ

会社のサポート体制と社員の成長意欲とのズレ

更新日:3月26日


ここ数年、人材確保の文脈においても、生産性アップの面においても「ヒト」への関心が高まっています。

先日、同期で10人が入社して「今では自分ともう一人しかいません」と入社3年目の社員さんが言っていたと経営者から聞きました。

これが現実のようです。

果たして5年目を迎えられる人はいるのか。老婆心ながら心配になります。


このような状況の中、各社どの方向へ変化(進化)したらよいのか迷っているようです。

一概に「社員が働きやすい環境を整える」と言っても、一体何が有効なのかと経営者から相談を受けることが増えました。


そんな中、地方の中小企業でも社員の育成に力を入れる会社が増えてきました。 それ自体は変化がはじまっていることなのでポジティブに捉えています。





その流れからなのでしょうか。

入社間もない、あるいは2〜3年目の社員に対して、会社が難しすぎる課題を与えない方針をとる傾向が見られるのです。


若手社員へいきなり難しい課題や目標を与えると社員が辞めてしまうとの心配があるからなのでしょうが。


確かに理解できるのですが、はたしてこの「厳しくし過ぎない」方針は有効なのでしょうか。これによって若手社員は辞めずに育ってくれると思いますか。


社員の強化や育成という文脈において、難しい課題や厳しい概念を伝えること自体が、社員にとって不愉快なことなのでしょうか。


難しい課題を与えることは社員を一方的に苦しめるだけで、若者達が組織に対して貢献意欲を高めることには繋がらないのでしょうか。

あるいは、厳しい課題を与えることでやる気あふれる社員を潰すことになるのでしょうか。


例えば、一時期流行ったブートキャンプや富士登山研修等のような厳しい研修は、その研修自体が可能性あふれる社員の退職を招く原因となるのでしょうか。



若手社員がストレスを感じる要素

これらの一連の疑問に答えるべく、若手社員が「不愉快だ」とストレスに感じることを以下にまとめてみました。


  1. 難しくない課題であっても、方針、意図等が不明確なまま丸投げされること。

  2. 与えられたタスクをこなした後、何の評価ももらえないこと。

  3. 会社に対し、自ら業務の課題解決の提案をした際に、合理的なフィードバックをもらえないこと。

  4. 一緒に難しい課題に取り組む仲間がいないこと。困難な状況を分かち合える仲間がいないこと。

  5. 不安や不明、疑問点を聞きたい時に気軽に聞ける相手がいないこと。

  6. 雑談や気分転換をする仲間がいないこと。

  7. 意義(何のため)が腹落ちしないことをやらねばならないこと。


7つのケースで示したことは、必ずしも与えられる課題の難易度自体はストレスの原因ではないということです。


取り組む課題の難易度以外に、それよりストレスを感じる要因があるのです。

それは、合理的ではないことや、理由や方針がブレていてよく分からないことです。自分が貢献できているのか分からないことや、気軽に相談する相手がいないこと等です。これらがストレスの原因となっているのです。



新入社員のニーズを把握し適切な取り組みを

若手社員の多くは考え方や判断基準が学生時代のまま変わっていません。社会人として経験不足なので、自分のこれまでの経験で得た思考パターンで課題を処理しようとしがちです。無意識にです。


そして、当然学校生活で身につけた考え方だけでは解決できないことが多いので、それ以上の引き出しがなくなった時点でフリーズしてしまうのです。


最終的に何が分からないのか分からない状態に陥り、説明できないストレスを抱えることになるのだと思います。


以上の背景から、

会社が「働きやすい職場を作る」取り組みとして以下のことを最低でも整える必要があります。


  1. 課題を与える際には、方針、意図等を伝え、場合によっては若手とすり合わせる。

  2. 常に適切な評価をその場で与える。

  3. 定期的に業務のフィードバックを与える機会を設ける。

  4. 同世代の仲間との交流の場を作る。

  5. 不安や疑問は若手から言われる前にマネージャーから積極的に聞きに行く。

  6. 仕事以外の話をする機会を計画的に作る

  7. 業務の方針や意図は一回の説明では理解されないことを前提に何度もすり合わせる。


つまり、与える課題の難易度を下げるのではなく、社員が課題に取り組む環境を整えることが求められているのです。


この環境作りが不十分な状況では、与えられる課題の難易度が高いか低いかに関わらず、若手社員にとっては「働きにくい」と感じられてしまうのです。


若手が入社して辞めずに育つ環境を整えるためには、従来の組織の文化を新入社員へ押し付けるのではなく、若手社員が全力で挑戦できる環境を社員目線で整えることが必要なのです。


それによって社員が生き生きと働き、日々大変な中でも心地良い充実感を覚える職場環境を作れるのです。

この一連の体制を整えれば、入社早々社員がどんどん辞めていく悪しき状況を改善できるはずです。


難題を与えられないことや優しくされることが必ずしも求められているわけではありません。

社員が辞めずに育ち、結果として会社の生産性が上がるためには、社員が働きやすい環境を合理的に整えることが求められています。

優秀な人材の採用に力を入れることや、若手社員の働きに多くを期待する前に、会社が自ら変わることのほうがずっと早いしコスパも良いはずです。


会社が自ら変わり生産性もバク上がり。それによって良い人材が入社して定着率も高い。

そんな経営が最終的には理想なので、ブレずにそこを目指したいですね。


最後までお読みいただきありがとうございました。


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